子供のための家庭

立教大学野球部の上級生による後輩虐め問題や、日大アメフト部の不祥事、或いは小中学校のいじめ問題などを聞くにつけ、若者の間に情緒不安定の傾向が増えているような気がするが、教育に大きな間違いがあるのかもと思う。
最近、何かで読んだが、興味深い内容だったのでよく覚えている。将来の社会を担う子供たちのために、どのような家庭環境が望ましいのか、80年にわたって千数百名の男女を追跡調査した米国の研究がある。
それによると子供の健全な発達にとって、結婚した両親が実子を育てる家庭が、片親や、連れ子再婚家庭より、はるかに優れているというのが実証研究のコンセンサスとなっている。両親と実子からなる家庭の優位性は、所得水準など他の要因を考慮に入れても揺るがないという。更に、米国で国家的プロジェクトとして、数百億円の予算をつぎ込んで、生まれてから15歳まで1300人の子供の定期的観察を練り返す調査の結果からわかることは、人生の最初を保育所で過ごすと、乱暴で言う事を聞かないなど、問題行動を起こしやすくなることが明らかになった。子供の発達にとって、保育所の質ではなく、預けられる時間が重要なことが分かったのである。
実証研究が示したのは、子供が結婚した実の両親と暮らし、小さい間は母親が子育てに専念するという伝統的家庭が、将来を支える子供にとって最も望ましい家庭のあり方だという結論である。
従って、どのような家庭政策が望ましいのかと言うと、日本古来の伝統的家庭こそ子供にとって最善の環境であり、政策はその維持に資するものでなければならない。従って、それ以外の家庭のあり方は容認するにとどめ、推奨すべきものではないと思う。実証研究が示した保育所のマイナス面を考慮すれば、小さな子供を持つ母親が子育てに専念できるような政策こそが必要である。物言わぬ子供たち本人が発言することができれば、保育所でなく、自宅で母親に育てて欲しいと要求するに違いない。それに応えることこそ、子供の権利尊重ではないだろうか。
最近の新聞に注目に値する投書があった。
その1   「ママがいいの・・・・」あーついに来たか。娘が出産で入院してる間、3歳の孫を預かった。4日目の夜、寝かしつけていたら突然しくしく泣き始めた。最初は遠慮気味に小さな声だったが、小さな胸をトントン                   と 優しくたたいてなだめているうちに、泣き声が大きくなってきた。慌ててぎゅっと抱きしめると孫もぎゅっとしがみついてきた。その力強いこと。どれだけ懸命にさみしさを我慢してきたのだろう。健気さに、胸                 が張り裂けそうになった。初めてママと離れて過ごすことにあたって、ママとの約束事がたくさんあったのだろう。その約束を守るため、歯を食いしばっていたんだね。娘が退院してくる日の朝、孫は目覚めの開口                   一番「ママ、今日帰ってくる」と元気な声で聴いてきた。私も「うん。帰ってくるよ。うれしいね。よく頑張ったね」と孫と同じくらいのテンションの高さで返事した。孫の成長を間近に感じ、一層いとおしく感じ                   た夏だった。(東京都、60歳)
その2   娘夫婦が友人の結婚式に招かれた。留守中、私たち老夫婦が3歳の孫娘のお守りをすることになった。娘夫婦が出かけた後も、孫は玄関ドア近くから動かない。孫が好きなプチトマトをリビングで一緒に食べない                    か、と持ち掛けてもここで食べるという。結局、夜に娘夫婦が帰宅するまで、5時間以上、孫は玄関で自らの乳母車に座り待ち続けた。私はその間、夕食や本を玄関に運んだが、健気に帰りを待つ孫の姿に、一種、                  厳かなものを感じた。こんなにも慕われ、子育てに奮闘する娘夫婦にも尊敬の念を抱いた。帰ってきた母親の胸に飛び込んだ孫の笑顔が、私の目に焼き付いた。(大津市、72歳)
その3  私は保育士として勤務していた頃から、幼い子供には母性が必要と強く感じていた。子供を思う母親の代わりになれる存在はないと思っている。現代は、社会進出することのみが女性を輝かせる、というような風潮                  があるように感じる。家庭を守る主婦を軽く見ているように思えてならない。子育ての大切さを軽んじているのではないかとさえ思えてしまう。せめて子供が幼いうちは、家庭で保育ができるような社会であったな                 らば、「保育園落ちた日本死ね」と題した、悲しい叫びとも言える、匿名のブログをつづる人もいなかったでしょう。(藤沢市、60歳」
政府はこれまで、小さな子供のいる女性の賃金労働者化を推進し、保育所の拡充化を進めてきた。誰が子育てサービスを提供することが子供にとって望ましいか。人生の最初が重要なのだろうと思うが、保育所で過ごす時間が長い程、情緒が不安定になる。負の影響は、最後の観察機関である15歳まで続くことが確認されている。
若い世代の収入を増やし、子供にかかる費用の不安を除くことが必要なのだ。そして情緒安定した健全な人間の育成も同時に担える。従って、自ずから政策の変更が必要不可欠になってくる。

 

 

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