中国との関係
東京電力・福島第一原発の処理水の放出に関連して、科学的根拠のない中国からの抗議や、嫌がらせ行為が相次いでいる。
日本製品のボイコットなどの不買運動や、中国の日本人学校への卵や石の投げ込みや、上海では、通学中の在校生に、大声で怒鳴る男が目撃されたりしている。国際電話による迷惑電話等々、あまりにも度が過ぎる。かって尖閣諸島を巡る反日活動で、日系の工場やスーパーが暴徒に狙われたことがあった。放火、略奪、日の丸の蹂躙と、まともな国ではあり得ない暴挙が中国では起こった。
日本は中国という国と、今後どう接したらいいのか、再検討すべきではないだろうか。
近年、中国は巨大市場や、供給力を武器に相手国を威嚇して、政策変更を迫る「経済の武器化」を常態化させている。近くでは、新型コロナの発生源に関する独立調査を求めた豪州に対する大麦、ワインへの報復関税。台湾事務所を開設したリトアニアに対する通関拒否など、枚挙にいとまがない。習近平政権の外交方針から、こうした威圧は今後とも続くと見るべきだ。日本は経済的威圧に対する対抗手段を持ち合わせていないと聞く。EUや米国には独自に対抗する措置があるし、さらに対抗措置も準備しているとも聞く。日本は標的になる可能性が高いにもかかわらず、危機感がなく、無防備のままのようだ。速やかに「経済的威圧への対抗措置」を作ることをすべきであろうと思う。
バブル崩壊後の日本は、適切な手を打てずに日本企業の重要な技術を,中国に輸出あるいは支援という名目で、売り渡してしまったのが、今、わが国への脅威という形になって戻ってきている。
マキャベリは「他国が強くなるのを助ける国は自滅する」と言っている。バブル崩壊後の日本の中国に対する技術提供は、まさにその通りだった。卑近な例では、中国に新幹線技術を売り込むことによって、中国の経済成長を助けると共に、新幹線輸出において強い敵を作ってしまった。記憶に新しいところでは、インドシナへの新幹線売り込みを中国にしてやられたのを思い出す。
これは極めて重要なことで、中国国内で高速鉄道網が充実していけば、当然ながら同国の経済成長率は高まる。経済成長率が高まれば、政府の財政規模も増え、軍事費を拡大することができる。JR東日本や車体を担当した川崎重工は短期的な利益を得るために、虎の子の新幹線技術を中国に提供し、自国の安全保障を危うくした。
中国は、日本やドイツから「中国国内のみの利用」を条件に、高速鉄道の技術供与を受けて開発を始めながら「独自技術」をうたって輸出して、国益に寄与している。
近年、中国は巨大市場や供給力を武器に、相手国を威嚇して政策変更を迫る「経済の武器化」を有力な武器にして、相手国に威圧を与えるのを常套手段としている。
従来の日本は、中国を刺激することを懸念して、対抗措置を整備する「構え」を示すことにおよび腰だった。こうした経済的威圧に対しては、行政の運用面での対応だけでは限界があると思う。従って今後の抑止力としては、法的な制度を用意しておくことが必要だ。早急に対応策を講じて、国家の強靭化を一刻も早く図るべきである。