米不足をどうする
米の価格が上がったと言って大騒ぎをしているが、生産者は米が安くて採算に合わず、長い間苦しんできた。米農家の実情は肥料等の値上がりと、機械の高価格に悩まされ、小規模生産者にとっては、米作りを続けるほど赤字が増える底なし沼と言われてきた。日本の水田の面積は約240万ヘクタールで、全ての水田で米を作ると、その生産量は約1,200万トン。一方、消費量は約690万トンで約半分。そのために政府の方針は、米を他の作物に転換させようと長年に渡って、減反政策を採用してきた。その結果が、蓮根などの作物に替わってきたが、米より採算がいいので爆発的に蓮根農家が増えた。しかしながら、その蓮根も生産過剰になりつつあり、価格が不安定になってきている。
米の生産は政府方針の通り大幅に減ってきているが、米不足を補うために米農家を増やそうとしても、現在の米の価格では、生産者は米作りに戻るとは思えない。特に小規模生産者にとっては、従来の米の価格では肥料等の経費の値上がりと、農機具の負担で採算はますます悪化していく。米の世界においては生産者だけが儲からない状況になっている。
米の高値を是正するために、政府が決めた備蓄米の放出。果たしてそれで解決するのだろうか。今、基幹的農業従事者は120万人とか130万人とか言われているが、2040年に35万人に減ると言われている。そうゆう中で、食料安全保障をしっかりと確保していくためには、米の価格の適正化と機械化と水田の大区画化が必要になってくる。
水田の大区画化は50アール以上の面積が基本だが、現在は10パーセント以下であり、早急に整備しなくてはなるまい。更に水田の陸田化を図り、排水施設の整備と機械化を図る事が必須のことだ。いま5キロが4千円に近い。前年の約2倍である。政府の備蓄米放出が店頭に並ぶころには、少しは求めやすくなるのか。とはいえ、安く買えて当然という従来の意識は捨ててもらわねばならないのではないか。訪日客も増え、米の需要はますます高まるだろう。米は、食量安全保障の柱であり、供給の安定は国の安定につながる。
農家は国の宝ではないのかという事を考える。農家をつぶしたら田畑が荒れ果ててしまう。美しい田園こそは、我が国の誇る美しい情緒や、それから生まれた文化や伝統の源泉だ。何としても農家を守らねばと考えるが。