光と影

バレーボールの人気がすごい。昨夜は日本チームが大接戦の結果、ドイツに勝利した。サーブにしろスパイクにしろ、現代のバレーの試合は、スピード感が凄すぎる。
そうゆう私は、テレビを見ているうちに、かってのミュンヘン五輪の日本チームの優勝の試合を思い出した。当時世界一の名セッターとうたわれた猫田勝敏の追悼テレビの一場面である。このドラマは、ミュンヘン五輪で全日本バレーボールチームが世界を制覇するまでの、彼の苦闘を描いたものであったが、高校時代の恩師稲葉監督から「猫田よ、世界の影となれ」と諭され、猫田が、影の存在になり切り、チームをまとめようと気持ちを固めた場面と、数々のセリフに心が洗われる思いがしたことを今でも鮮明に覚えている。
バレーボールの得点はスパイクの良しあしに左右され、当然観衆も、そのスパイクの動きに目を奪われ、酔いしれる。しかし、その前のセッターの役割が重要なのだ。相手のブロックをうまくかわしてスパイクできるよう、全神経を集中して、ボールに自分の魂を乗り移らせ、トスを上げる。目の覚めるようなスパイクが決まり、観衆は嵐のような拍手を送って称える。とその時、傍らの猫田選手は観衆と同様に、スパイカーに「よく決めた」と拍手を送っているのである。この光景は、まさしくスパイカーが「光」であり、セッターの猫田は「影」である。会場はそのスパイクが決まるか否かに注目し、また評価もそれのみに集中し、セッターの評価は忘られがちになる。
自然界に光が存在する限り、必ず影がある。影の存在価値が大きければ、光は更に強烈なものとなる。我々の日常の仕事に置き換えれば、一つの仕事を成し遂げた時、そこには必ず自分を支えてくれた影の協力者がいる。それを忘れてはならないと思う。我々の仕事は、少なくとも一日の三分の一は職場で生活し、しかも重要な時間を過ごすわけである。そのような貴重な時間を使うなら、楽しく有意義に、またそれ以上に気持ちをよく使う事を心掛けたいものである。

 

 

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