高齢者よ。働こう

 国の人口問題研究所の推計によると、このままの出生率の低い状態が今後も続くとすると、65歳以上の人口割合は、2010年の23パーセントから30年には32パーセントになるという。
その後も、何らかの抜本的な政策を打たずにいると、その傾向は益々急カーブを描き、挽回不可能になる危険が予測されるという。  一方、15歳から64歳の生産人口は、50パーセントまで低下するというショッキングな数字も示されている。 これでは日本の産業は将来どうなってしまうのか多いに心配である。 したがってこの際、平均寿命が延びて、ますます元気になっている高齢者に、昔取った杵柄を発揮してもらうような働ける場所、環境を可及的速やかに整備することが重要ではないのかと思う。
静岡県駿河区に84歳の社長が起業した会社がある。 社員5名、平均年齢76歳と極めて高い年齢構成だ。 社長は「老人の強みは今まで培った人脈だ」と、大手とは違うきめ細かな仕事に徹し、それが好評を得て受注はすこぶる好調だそうだ。 元々は製紙関連会社の社員だったそうだが、「体への負担が軽いリフトが作れないか」、そんな思いから起業して、これまで1500社以上に製品を納入したそうである。 「儲けは大きくなくてもいい。社会貢献できる企業になりたい」と抱負を語っている。
どうも高齢者の働く意味を考えるてみると、収入に迫られて働く人もいるかもしれないが、高齢者の主な動機は、生きがいであるような気がする。 自分の価値を再確認し、社会に求められている実感を味わうことが、生きる充実感につながるということなのだと勝手に思っている。
自分も高齢者なので、多分思うことは一緒だと認識しているのだが、高齢者の人生というのは、明日も元気でいられるという保証がない。 したがって青年が明日の希望のために努力するのに対して、高齢者は明日よりも今日を頑張るのである。
その頑張る場所を提供されるとしたら、多くの高齢者に生きがいの場を与えることになるばかりか、日本の将来のためになる。 高齢者よ、働こうというのはどうだろうか。 

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