年の暮れ

　年のせいかと思うのだが、一年が飛ぶ矢のごとく過ぎてゆく。　若い頃には年の暮れともなると、多少は一年を振り返り、あれはどうだったかとか、こうだったっけとか、時間の経過をたどって、思い起こしたものだが、いつの頃からかはそうした時間の流れが実感されない。　ほんの半年前の出来事でさえも、過ぎ去って何処かえ消えてしまっている。　こんな話を子供たちにしたら、結構若い人たちも似たような感想を持っており、我々のこの時代の特質なのかもしれない。　ともかく、日々がさしたる深みも味わいもなく、しかもただあわただしく過ぎてゆく。　
年の暮れにあたって、一番気になっていることがあるが、それはＴＰＰについてである。　アメリカとの合意の是非はどうなったのか、一時連日のように報道されていたのが、最近はとんと報道されない。　日本は自由貿易の国である。　自由貿易で繁栄した国が、自由貿易を守る枠組みに背を向けてはならず、巨大化する中国経済の暴走を牽制するためにも、日米の連携は大切で、日本に「不参加」の選択肢などはあり得ない筈だ。
少子高齢化で、人口減に転じた日本にとって、自由貿易を推進し、成長著しいアジア太平洋地域で、輸出拡大を図ることは経済活性化のために不可欠だ。　問題の農業についても、政府は保護を強調しているが、実態に合った農業政策は皆無に等しい。　今の農業のやり方で、農業が将来発展するとは到底思えない。　
要するにＴＰＰは、国益本位で考えるべき話である。　
一人、自由貿易の枠外にいて、事態が好転するはずもないのである。　保護主義で経済が栄えた国もないのである。　アベノミクスの第三の矢を成功させるために一番気になっているのが
ＴＰＰ問題である。　来年最も重要なのはＴＰＰ問題の解決だ。

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