同窓会に出席して
先日中学校の同窓会に出席した時のことである。 大きな農家の後継ぎであったその友人は、心ならずも運命と割り切って農業を生業としてきた。 例の原発の影響でシイタケ栽培は、放射能の影響とかで廃業したということだが、70歳を超えて尚、前進を止めない。 約3ヘクタールの山林の松が、松くい虫にやられたのを機に、全部の木を切り倒し、開墾して畑にしたそうだ。 一か所で3ヘクタールの畑というのは近辺では、まず見られないほどのスケールである。 今、我が国で食料自給率不足で最大の問題となっているのは、大麦、小麦、大豆等の生産を国産で賄えないかということである。 彼はここへ大麦を作ったそうだ。 一面で3ヘクタールという広大な麦畑というのは、多分壮観だったろうと思う。 相当に苦労したようだが、収穫し業者に販売したそうだが、全く採算に合わなかったという。 そこで陸稲に切り替えたそうで、本当は大麦や小麦や大豆を作りたいがと再度工夫を重ねているという。
同窓会というのはこんな話を聞くのが一番楽しい。
人生に胡坐をかいて、安定した話などはどうでもよいのであって、出世した話や金儲けの話などは、時にはいやしく響くものである。
またある友人は、樹木の選定を正式に学校へ入学して、習得して今やベテランの役に到達している。 一人前の職人になるには十年かかるといいながら、ホワイトカラーだったその友人は、さすがと言われるまでの技術を体得して、その業界の重鎮になっているという。
最近になると同窓生も結構亡くなる友人も多いが、友人にまつわる良い思い出を、お互いに積み立てておきたいものである。 良い思い出のためには、よい付き合いも要るが、学生時代に戻ったように、思い出に話は果てしないもので、久しぶりにすごく楽しい時間を過ごした。