消費税について
消費税の引き上げがなかなか実現の運びになっていないが、国民にキチンと説明する努力を避けている国会議員の皆さんに原因があるのではないか。増税が行われれば景気が必ず悪くなると、国民は今のところそう思っている。そうだとしたら北欧のように、20%を超える消費税を課していながら、経済が活況を呈しているのを説明できまい。
消費税は職業の如何を問わず、誰もが使ったお金の大きさに応じて漏れなく、公平に負担という所得税とは違った面がある。税制面で見ると所得税、住民税の課税最低限が諸控除の引き上げにより、一段と高い水準になり、非課税の世帯が増えてきている。また、所得税、住民税は税体系の中心であり、しかも国際的にみて、なお下に軽く、上に重い構造となっている。従って消費税の導入如何が、今後の日本経済に与える影響は大きい。
そこで、例えばこうゆう考え方はどうだろうか。50兆円の増税をした場合、その増収分の全部を公共投資や、社会福祉などで使うとしたら、まず間違いなく景気にはプラスに働く。問題は日本の政府の借金が1,000兆円を超えるまでにも膨らんでしまった現状では、消費税率を上げても、その税収の相当部分が借金の返済、つまり財政の健全化に回していかざるを得まい。そうすると景気にはマイナスに働く。税の本来の考え方から云えば、税収の使途を制限することは好ましい事ではない。しかしながら、消費税率の引き上げを全て公共事業と社会保障費に使っていくという事を明示化することで、増税と歳出拡大を連動することができる。消費税率の引き上げを過去からの債務の返済に利用する道をあえて閉ざし、景気回復に寄与することで消費税率の引き上げについての国民の合意を得るのが重要なことではないのか。