日本の食料安全保障

日本の水田の面積は、約240万ヘクタールと言われてぃるが、その全ての水田で主食米を生産すると約1200万トンになる。ところが現在の日本国内での米の消費量は690万トンにしかならない。生産量の約半分しか消費していない。従って国は、米の転作をさかんに奨励しているが、一方、日本の食料自給率は諸外国に比べて低いのが現状だ。従って、米の生産を減らそうとしている現在の政策には疑問を感じる。万が一、食糧輸入が止まり、国産の食料しか手に入らなくなった場合、米以外に何があるのか。国民を飢えさせないためには、米の増産が必要になるのではないのかと心配だ。
さらに問題なのは、畜産関係の飼料や農産物の生産に必要な肥料の原料も大部分を輸入に頼っている現実がある。
令和3年度の日本の食料自給率は38パーセントと深刻な状況にあって、しかも、ここ数年は世界的な天候不順や新型コロナウイルス禍などにより、食糧の問題が大きくクローズアップされている。更にロシアによるウクライナ侵攻などにより、食糧輸入が途絶えるかもしれない。食糧輸入が止まり、国産しか手に入らなくなれば、日本の食糧危機が起きる可能性は否定できない。これまで、さまざまな輸入先を確保し、食糧を購入できる体制を整えて置けば、食糧安全保障に備えられるという事であったが、これまでの前提が崩れてきているようだ。さらに、海外の食料や農業生産資材が高騰して買いにくくなっているだけでなく、物そのものが日本に入り憎い状況が強まっている。これからは生産資材の輸入依存を極力低減し、国内資源を最大限に活用した循環的農業の方向性を視野に入れることが求められる。国は高騰する肥料の価格上昇分を補助金で補填するなどの対策を取っているが、抜本的な対策を講じるべきだろうと思う。食糧自給率だけで考えると米の消費量が落ち込んではいるが、米だけが自給率を満たしている。米を増産し、米価を挙げる政策が今こそ必要なのではないのかと思う。例えば米価が一俵、約9000円を、農家が採算を取るには、少なくとも一俵あたり1万2千円で売れなければならない。その差額の3000円を政府が保証したらどうか。主食用米700万トン分の差額を補填するには、年間約3500億円の予算が必要。国全体の予算からすれば全く微々たるものだ。シーレーンが使えなくなれば石油すらも入らなくなる。農業機械も動かせなくなるし、肥料も農薬も使えなくなる。そうなると食糧危機は免れない。米の生産を増やして平時は輸出し、有事の際は輸出していたものを消費するようにすれば、危機は凌げるのではないのか。政治家も行政に携わるすべての官僚の皆さんも、食糧安全保障について真剣に考えてもらいたいと強く思っている。土地改良区としては、米の増産に耐える水田の整備を促進しているつもりである。

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