伊勢神宮参拝

  今年は20年に一度の式年遷宮の年だというので、矢も楯もたまらなくなって、先日伊勢神宮を参拝してきた。 前回参拝した時の記憶は、繁華街に接しながらも、一歩神域に入ると森閑とした別世界だったが、誰も考えることは同じで、現地は式年遷宮を目当ての善男善女で、東京銀座の休日の歩行者天国よりも数倍の賑わいを呈していた。 宇治山田駅からバスで、外宮まで通常なら5分もかからないところを、小一時間もかかってやっと着く。 外宮から内宮の順に参拝するのが、古来からの習わしになっているので、まずは外宮へ向かう。 押し合い圧し合いの末、ようやく手水舎に辿りつく。 そこで手と口を清め、鳥居の前で深々と一礼をする。 第一鳥居、第二鳥居をくぐり、表参道を進んで、豊受大神宮へ。 周辺には直径3メートルを超す楠が、亭々としてそびえている。 平清盛が勅使として参向した時に、冠にふれた枝を切ったという曰くから、清盛楠と呼ばれているという。 豊受大神は産業全般の守り神として広く信仰されている。
内宮は外宮から5キロメートル離れている。 五十鈴川にかかる宇治橋を渡り、第一鳥居をくぐり、右へそれると五十鈴川御手洗場がある。 そしてさらに参道を進むと、神宮の森は杉の古木で濃い緑に覆われ、まるで夜明け前のように薄暗い。 「神宿る森」の神々しさを感じる。
石段を登り、その上の一段と高いところに天照大神を祭る正宮が建っている。 五重もの垣に囲まれ、玉石がびっしりと敷かれていて荘厳そのものである。
あまりにもの重厚さに圧倒されながら、御幌の前で、二礼二拍手一拝を精いっぱい頑張って、決して間違わないようにと気を使いながら行った。
持統天皇以来、千三百年にわたって古式のままに受け継がれてきた遷宮は、伊勢神宮が日本人の心のふるさととして、広く国民から崇敬を集めてきたことが、参拝に来てより深く理解することができる。 急速に進む国際化や心の豊かさが求められる今日にあって、美しい日本固有の伝統と文化が二十年ごとに再現されるこの制度は、意義深く貴重であると神宮司庁でも述べておられるが、その通りであろう。