文化財登録制度に期待

 外国、特に、ヨーロッパの都市の街並みと、日本のそれとの落差はただ事ではない。 ほぼ十年ぐらい前になるが、ドイツ、スイス、フランスの地方都市を選んで歩いみた。 ドイツのハイデルブルグ、バーデンバーデン、スイスのバーゼル、フランスのストラスブール、コルマール等々、田舎の小都市ばかりである。 
これらの街を歩いて感じたのは、歴史と自然を大切にした景観の美しさだった。 木組みの家の白い壁と黒ずんだ木とのバランス、窓辺を飾っている花々、ゆったり流れる川の水、情緒豊かな道路の造り等々、 実に感激した。
日本だって、歴史と自然においては、何ら劣らないはずだが、そうした薫を伝える建造物は、社会的評価を受ける間もなく次々に消えてしまっている。 代わって出てくるのが、周囲との調和など、つゆほども考えていない無粋な建物や看板だ。 経済原則だけが、むき出しになった街は疲れる。
そこで注目したいのが、文化庁の文化財登録制度である。 地域に親しまれている建物や、時代の特色をよく表したもの、再び作ることが出来ないものを、地域の資産として生かすための制度で、平成8年に誕生した。
住宅や店舗や鎮守社やお堂や事務所のような建築物ばかりでなく、橋やトンネル、ダム、石垣、煙突、火の見櫓など、幅広くの多くの建造物を対象にしており、すでに全国で8,000件を超える登録がなされたとのことである。 
登録の基準
 原則として建設後50年を経過したもののうち
  1、国土の歴史的景観に寄与しているもの
  2、造形の規範になっているもの
  3、再現することが容易でないもの
登録文化財の優遇措置
  ● 保存・活用に必要な修理等の設計監理費の2分の1を国が補助
  ● 相続財産評価額(土地を含む)を10分の3控除
  ● 家屋の固定資産税を2分の1に減税
  ● 敷地の地価税を2分の1に減税
さらに重要文化財よりは、使用法の制約が少ないなど、所有者が利用しやすい柔らかい制度になっている。 できれば修復する場合の補助制度も、各自冶体で考えられないか。
何もしなければ、消えていく可能性が高い文化財をどう残していくか。 まだまだ、やれることはいくらでもある筈である。 私たちの周りには、残して行きたい風景がたくさんある。 それを残すことが、ヨーロッパの国々と同じような、魅力ある街づくりの近道だと思う。 街造り活性化委員会あたりで、積極的に取り上げることも一方法だろうと思う。