多選首長の是非
参議院議員の選挙が終り、9月には知事選がある。 新聞情報によると橋本知事は、六選に挑戦する為の布石を万全に整えたようだ。 今朝の新聞に自民党が候補者擁立を断念したとあった。 これで橋本知事の六選は事実上決まったようなものだ。 橋本知事にとって、適当な後継者が存在しないと云うことも多選の原因の一つなのであろうと思う。 が、現職中に後継者を養成するのもトップの重要な仕事なのではなかろうか。
ただ後継者になる人も、前任者が優れた人で人気もあると云う場合は、その任に就いてから苦労することが多い。 武田勝頼は信玄があまりにも偉大であったため、「背伸び」せざるを得なかった。 信玄の重臣たちに、何かにつけて比較され批判されて、結局 周知の通り、柵を構え、鉄砲を並べて待つ織田、徳川連合軍に、無敵であった騎馬隊の無謀な突撃を繰り返して壊滅してしまった。 合戦史を塗りかえた「長篠の戦」である。
かって広島カープに阿南という名監督がいた。 弱小球団であった広島カープを何回か優勝に導いた人物である。 その阿南監督が西武ライオンズの強打者であった茨城県出身で解説者であった豊田氏との対談があった。 そのなかで「快進撃の秘訣は何ですかね」という豊田氏の問いに対し、阿南監督の答えが興味深かったのを覚えている。
「私は特に何もしていません。前監督のやり方が素晴らしかったので、それを真似ているだけです」
「ほう、しかしそれでは前監督のコピーだなんていわれませんか」と問われると
「ええ、コピーでもいいと思うんですよ。いいやり方は継いでいきたいです。」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
後継者は先任者のまねだけでもいけないし、やたら奇をてらってはなお悪い。まずは前任者の長所短所を十分観察することが肝要であろう。・・・・・・・・・・・・・
後継者の心得以上に後継者を養成することも難しい問題である。
後継者養成を難しくしている要因の一つに、ナンバー2を排除したいという当事者の権力意識と自己中心、自己顕示と云った人間の性(さが)があると思う。
だが、しかし、人はいつか消える。 しかしながら人の世は永遠である。 秀吉が死の床で、五大老たちに秀頼のことを綿々と頼んだことと、すべてを諸葛孔明に託した劉備とを比べてみる必要があろう。
虎は死して皮を留め、人は死して名を残すの格言もある。