土地改良組合の重要性への認識
以前にも、この問題については何回か紹介したことがあるが、なかなか理解されない。 しかし、日本の農業を考えたとき、土地改良組合の機能が有効に果たされなかったとしたら、米も蓮根も作れなくなってしまう。 想像しただけでも問題の大きさに愕然とする。
私が担当する木田余土地改良組合では、霞ヶ浦からポンプで水をくみ上げ、木田余~東真鍋~真鍋新町~真鍋三丁目~西真鍋~殿里まで約百ヘクタールの水田に、安定的に水を供給して米や蓮根の栽培に供している。 これにかかる経費は、賦課金と称する組合員の会費で賄っているのだが、ここ数年は毎年のように賦課金を値上げしている。 経費の主なものは、ポンプ稼働に要する電気料、人件費、維持補修費、末端まで水を送るための送水管や排水路の整備費、給排水路の浚渫や除草等々・膨大である。
特に、最近は、水田の周囲の都市化が進み、商店街・住宅街・道路・高台に降った雨水はすべて土地改良組合が管理している水路へ流入してくる。これらの流入による水路の破損や、排出するためのポンプの稼働等々に、さらに莫大な経費がかかる。 蓮根は収穫するときに高圧の水を使用するので、農道の破損も大きな課題だ。
これらが複合的に絡み合い、年々土地改良組合の運営が難しくなってきている。
TPPで農業が危機にさらされるなどということはよく論じられるが、喫緊の課題は身近にあるのである。 米の価格が低価格に抑えられている上に、賦課金をさらに上げるということは、農家の農業離れを加速してしまう。
しかしながら、国も地方も口では農業の重要性を唱えながら、実態にあったことは殆どと言っていいくらい手をかけていないのが現状だ。 商業の振興とか、街づくり推進とかに多額の費用を惜しまない一方、農業・特にその中でも最も重要な米・蓮根に必要な水田の環境整備はほとんど頭にないかのようである。
万一、ポンプの耐用年数がきて交換ということになったら、その費用の大きさに組合は耐えられない。したがって一気に組合の運営は不可能になってくるのが現状だ。 民主党は土地改良組合に対する財政補助をストップして、農家の戸別保障に政策を切り変えた。 土地改良組合の運営はまさに瀕死の状態にある。
自民党政治に求めたいのは、実態にあった農政に早急に対応してもらいたいと思う。 そして農家の不安を一掃するよう、政策の方向転換をしてもらいたいものだと強く思う。