日本の技術の優秀さ
日本に開国を迫ったペリー提督は、江戸幕府と交渉のかたわら江戸湾沿岸の測量を密かに進めていた。目的は日本と開戦した場合に備えてという事のようだが、世界最先端だった三角点測量を繰り返し行った結果が、既にあった日本側の地図と全く同じものだった事実に驚愕したらしい。日本の地図は伊能忠敬が作ったもので、地図をつくるためには数学や天体観測技術、地球の自転に対する理解など先端知識が必要である。ペリーは正確な地図が作れるのは、文明の進んだ西洋の数カ国に限られると思っていたようだ。ところが、日本の技術レベルが既にその水準にあって、内容が高水準なことに驚き、測量を中止して引き上げてしまった。このことがやがて、ペリーの艦隊と戦端を開かず、日本が無事に維新を行う原動力になったとされているのである。その日本の技術力は今も健全で、水準の高さに目を見張っているのは中国である。中国は以前、尖閣問題をめぐる対立で日本に対し、先端製品の生産に不可欠なレアアース(希土類)の「禁輸」に踏み切った。中国は世界のレアアースの9割以上を生産。日本に対する強力な外交カードになるはずだった。ところが、日本企業はレアアースが不要な製造技術やリサイクル技術を次々に開発し、実用化。さらに調達先をオーストラリアなど中国以外に広げ、対中国依存度を急速に引き下げた。このために、中国のレアアース業者は軒並み業績悪化や工場停止に追い込まれる事態になった。日本を侮った結果とはいえ、中国にとっては全くの誤算だった。
今、日本は新型コロナに悩まされている。終わりの見えぬコロナ対策はもとより、ロシアのウクライナ侵略、それに伴う物価高騰と電力危機、安倍晋三元首相の暗殺とそれによって図らずも露見した世界平和統一教会家庭連合と政治家とのただならぬ関係、そして地球が焦げてしまいそうなほどの酷暑。
今こそ日本人が過去に示してきた技術力を発揮しなければならないときである。国民一人一人が現実を冷静に見つめ、どのような行動をとることが国家の利益となるか、かつ人間の真の幸せとなるかよく考えなければならない。