参院選に対して
民主党が政権について初めての国政選挙であるが、今回の選挙は特に国民の冷静な判断が必要である。
ご承知のように、今、日本は極めて重要な時期を迎えている。
日米関係はギクシャクしたままだし、中国の軍事費の膨張や、経済の躍進は不気味だし、北朝鮮の暴発があるかもしれないし、韓国のトルコでの原発受注は日本の得意分野を出し抜いた。
ヨーロッパを旅して気になったのが、日本車よりドイツ車のほうが多いように感じるし、ホテル等で他国製のテレビ等が目に付くことだ。
2,3年前にはなかったことである。
中国に抜かれたという説もあるが、日本は依然として世界第2の経済大国である。
しかしながら、国内で長期間にわたるデフレや、1000億に近い国債残高、税収不足、子供手当てや、高速道路無料化などの幼稚な政策等々に振り回されて、多くの国民は得体の知れない不安におちいっている。
こうした状況の中で、参議院議員の選挙が行われる。
選挙であるから各党にとって勝ち、負けは重要である。
しかしながら各党の政策を見ると、目先の勝ち負けにとらわれ過ぎて、本当に重要な問題が適切に取り上げられていない。
政治は人気投票ではない。
口に苦くても、良薬を投じ、口に甘いものを国民が欲しがるのは誤りだとはっきり指摘し、国民に説明し説得することが必要だ。
そして現実にその結果を見せていくのが本当の政治である。
現代社会は複雑なネットワークからなっている。
その全体を見通すことはそう容易ではない。
だからといって部分だけを見て、近視眼の政権を述べるだけでは世の中は良くならない。
財源不足からようやく消費税の問題がクローズアップされてきた。
消費税は職業のいかんを問わず、誰もが使ったお金の大きさに応じて漏れなく公平に負担という、所得税とは違った面がある。
税制面で見ると所得税、住民税が諸控除の引き上げにより、高い水準になっており、非課税の世帯が増加しているという現状がある。
所得税、住民税は税体系の中心であり、しかも国際的にみて、なお下に軽く、上に重い構造となっている。
消費税の導入の本来の趣旨は、従来の税制上の歪みを正すためのもので、所得税や住民税の減税や、法人減税等のマイナスを補って余りあるプラス面が大きいのである。勿論l、将来にわたっての財源不足を補う面もまた大きい。
消費税賛成、反対の声が両方あるが、各政党もマスコミも、甘い言葉の羅列で国民を欺いているような気がする。
本来、国政を預かるものの基本的姿勢は、世界の中の日本、国際摩擦をどうするのか、日本の将来の方向は、そのための政策、その具現化、更には国の防衛といったものについての、しっかりした見識が絶対に必要なのである。台所の感覚が国政に必要でないとは言わないが、それにしても国があってのものである。
現代の世評は少し短絡しすぎである。
参議院議員の選挙はしっかりした日本を築くことが出来るかどうかにかかっている。
目先の誘惑に騙されるなと言いたい。