再度前号に続く
バブル崩壊後、おおよそ30年近くたった。しかも、我々はこの間ありとあらゆる改革を重ねてきた。しかしながら目に見える効果は全くといい程上がっていない。アメリカの忠告にしたがって進めてきたグローバル化や、構造改革は、世界一といわれるほど、安定していた日本社会を荒廃させ、大事にしてきた国柄を崩壊させてしまった。2,000年代に入り、欧米やアジアが力強い経済成長を続ける中で、日本の経済だけが一向に浮遊しない。中小企業などの弱者が追い込まれ、地方の駅前商店街がシャッター通りと化し、街が壊れるという状況が顕著になってきた。地域の住民が集まって、様々な情報交換する中小の商店(酒、みそ、しょうゆ、八百屋、魚屋等の小売店)が一斉に姿を消し、大店舗が庶民の買い物客を独占するようになってしまった。規制緩和により、企業が人件費の削減のため非正規社員を増やした。そのため、35歳未満の非正規社員数は、550万人にものぼる。日本に進出したい外国企業にとって、非正規社員は給料が安くて済むし、雇用や解雇が比較的容易なために好都合なのである。非正規社員の年収は200万円にもならない。従って彼らは、結婚し子供を育てることが出来ないのが現状なのである。
一方アメリカは、グローバル化を推進し、世界をリードして来た政策を、トランプ大統領の誕生により、政策基調を人、モノ、カネ、情報が自由に国境を超えるのは良いことだとするグローバリズムから、アメリカ第一のナショナリズムに大きく転換した。貿易のルール、同盟のあり方、台頭する中国との関係、国家主権の意味などを大きく見直し、世界を米国に有利なポスト「冷戦後」の世界に変えていく方針に転換している。日本はポスト「冷戦後」の時代を日本の国益に合うものにしていかねばならない。世界最強の経済大国であるアメリカの世界に与える影響は大きく、各国はアメリカとの貿易問題その他で、頭を抱えているのが現状だ。
日本は、安倍首相とトランプ大統領との特別な関係から、中国やドイツやカナダやその他の国々よりも、深刻度は低いものの、今後の有効な対策は急がねばなるまい。
かって我が国は国民総中流と形容される時代があった。今思えば、夢のような素晴らしい社会であった。それは日本人の築いた文明社会そのものだった。要するにアメリカにリードされた日本社会を、昔に戻せばよいのである。そして重要なことは、期待を持てそうにない政治家を、一刻も早く排除することが喫緊の課題でもある。かって普天間基地問題や事業仕分けなどの無意味な迷走などの多大な失敗は、官僚を外して政治主導で突っ走しった結果であることは歴然としている。今後の国民の大きな課題は政治家の選択である。そして門地貧富を問わず選抜されたトップエリートである官僚の知識、経験、見識を利用する。彼らがともすれば陥りがちな、省益優先などに注意しながら、知恵袋として活用する。官僚とは叩くものではなく、高級を与え、矜持を持たせ、十分に働いてもらうものだと思う。一刻も早く、日本本来の文明を取り戻すことが解決の早道だと思う。