農業政策について思う
近所の農家の経営が、最近大きく変わってきているのを実感する。 ほとんどの農家が、急激にしかも大きく米作より、蓮根にシフトしている。 町内で最も米作に拘わっていた有力な農家が、今年から耕作面積の半分近くを蓮根に変えた。 米作では、農業を維持していける自信がなくなったというのが、その理由のようである。 一方、蓮根は現状では非常に採算の取れる作物である。 蓮根農家の暮らしぶりが証明している。
しかしながら問題は、日本の農家の米作りを、どう守っていくかということである。 ここは、農業に対する国の支援のあり方を、変えることだ。 従来の政策は農業者と一括りにして支援をしているが、農業者と呼ばれる人の中にもいろいろな人がいる。 専業農家で米を中心に生計を営む人から、兼業農家として収入の大半を農業以外から得ている人までを、一緒にしているのが今の支援のあり方である。
兼業農家の平均収入は、一般のサラリーマンよりも高い。 兼業農家はサラリーマンとしての収入に加えて、農業収入があるのだから当然である。 従って、兼業農家に対して農業支援を行うとすれば、それは相対的に所得の低い一般勤労世帯から税金を集めて、それでより豊かな農家にお金を回しているということになる。 おかしな話である。
農業支援を専業農家に限ってするという方向に、変えることが必要だろうと思う。 農業を守るための根本的なことは、農業生産力を上げ、専業農家になる希望者を支援し、専業農家により多くの農地が集まるようにすることが、我が国の食糧生産を強化することになる。 結果、専業農家で米作りを懸命にやっている人たちを、守ることになるだろうと思う。
我が国の農業政策の失敗は、専業農家も兼業農家も一括りにして、農業支援を行ってきたことである。 農業支援策とは、専業農家を支援する政策に限定すべきである。 兼業農家は専業農家でないので、農業支援の対象とする必要はないと考えるべきだ。 そう考えれば、今の米政策などは専業農家支援にはなっていないのである。