空気でものを言う

 もう数年前のことであるが割り箸を使うことは、森林を荒廃させる元凶だとして、散々マスコミがたたいた時代があった。 同じ頃、東南アジアのある国では、肝炎の感染を防ぐために、割り箸しか使わせない政策をとっていた。 割り箸は資源の無駄遣いにならないかという問いに対して、当時の政府高官からは、杉の木を立派に育てるためには、間伐が絶対必要条件で、その間伐した木を割り箸に使うことは、無駄ではなく資源の有効活用なのだという答えが返ってきた。
関係者の話によると、当時の日本のマスコミも国民も、森林保護のために間伐は必要だ、といくら声を大にしても誰も聞き入れなかったようだ。 日本人の、実質を見ずに空気でものを言う気質は、相当に始末が悪いということだ。 誰かが言っていたが、首相のKYは空気が読めないの略、国民のKYは空気しか読まないの略だそうだが、まさに至言である。
今回の日本の原発で、重大事故は起きないという「安全神話」は今のところ崩れたが、だからといって原発の安全確保が不可能であるかのような「危険神話」に陥り、「脱原発」に走るのは別の意味で危うい。 政府がIAEAに提出した報告書には、28項目の安全強化策が示された。 津波の想定規模の再検討や、非常電源の多重化、炉心冷却機能の確保などである。 
今、関係者の間で密かにささやかれている話がある。それは原発の電源が地下にあったために、津波で一気に水没してしまって、冷却機能が役に立たなかった。もし電源が高台にあったとしたら、今回の事故はおきなかったという話である。真偽の程は確かめようもないが、もし本当だとしたら、電源確保を万全にすればよいということになる。
そういえば女川原発は、電源が確保されていたので大事に至らなかったという話もあった。
案外簡単なところに安全弁があったのかもしれない。
いずれにしろ中国も、韓国も原発建設は今後も続く。もしこれらの国で事故が起きたら、放射性物質は間違いなく偏西風に乗って日本へやってくる。日本の原発だけを廃止にしても、どうにもならないのである。原発の安全性を確実にして原発を使い続ける。それが日本の英知を結集し、目指す道だろう。