逞しい人たちがいる

岩手県住田町の町長は国や県の指示を待っていては、被災者対策に間に合わないとして、専決処分で約100戸の仮設住宅を大震災の起きた日から、3日後の14日から造り始め、5月31日までに完成させて被災者の入居を実現させた。
町長は、今年に入ってからニュージーランドやスペインで起きた大地震で、多くの被害が発生したのを受けて、ある予感があったらしい。今年一月から、地元の木材を使ったプレハブ住宅建設用のシステム造りを第三セクターで立ち上げ、当初は町おこしの手段としようとしていたようだが、隣接する陸前高田市の被災者のために、約3億円の専決処分を行い突貫工事で素早く完成させ、入居を実現させた。住田町住民も、町長の決断を多いに支持している。町長も町民も素晴らしい人たちだ。
因みに国のやり方を見ていると、一応の工事を終わってから、検査を行うために何日か置かれる。地元に受け渡しするために、又、何日か待たねばならない。被災者はすぐにでも入りたいのに、完成後数日は入居できない。住田町の場合は、完成後即入居である。木の香りが漂う中で、入居者の感謝の声が伝わってくる。我がことのように嬉しくなった。
宮城県浦戸諸島に桂島という小さな島がある。主たる産業である牡蠣の養殖が壊滅的損害を受け、漁師も高齢者ばかりで一時はまったく復活を断念していたが、たった一人の新米牡蠣漁師、小泉善雅さん〔36歳〕がインターネットで、全国に一口一万円で投資の呼びかけをしたところ、あっという間に一億円以上の申し込みがあって、牡蠣養殖を再開したというニュースがあった。新米牡蠣漁師をはじめ、ベテラン漁師たちも投資の返還は現物となっているので、張り切って牡蠣養殖の作業に入ったようだ。投資の申込者の多くが、がんばる漁師たちを励ます一言が添えられていて、現物はいらないから、一日も早い復興を祈ると励ましの言葉が羅列されている。
菅首相を始とする日本の政治家は、この人達と比べると別世界に住んでいるのだろう。震災対応で批判されると「全力で取り組んでいる」という政治家や役人は多い。しかしそれは当たり前のことで、何の生産性もない。世間には大志を抱きながら、大志に溺れて何一つ出来ない人がいる。言うことは立派だが、実行が伴わない。世の中の失敗者にはとにかくこうゆう人が多い。フランスの作家ロマン・ロランは「英雄とは、自分の出来ることをした人だ。凡人は自分の出来ることをせず、出来もしないことをしようとする人だ」といった。住田町の町長や桂島の新米漁師はまさに英雄そのものだ。