日本人が千人いれば、理想とする社会は千通りある。教育についても、千通りの主張がある。ある人は、家庭の経済基盤が脆弱になっている今、むしろ必要なのは家庭を支えることだと主張する。もちろん家庭は、経済的に安定する方が、いいに決まっている。
しかし、我々が子供の頃、世の中は貧しい家庭だらけだった。学校から帰ってくるより早く、宿題をするより家事を手伝えと子供を怒鳴る、母親が近所にはいくらでもいた。食うに事欠く家庭も珍しくなかった。
しかし、そうゆう家庭の子供がぐれたという話は、ほとんど聞いたことがなかった。学歴はなくとも、人生の不備を知って、親切で働き者で、独立心の強い人物が大勢育った。
昔は貧家の秀才が、現実に見えるところにいたのである。
貧しさの中からも、立派な人間は生まれる。未来の日本を支える宝、子供たちの「生きる力」が衰えているように思えてならない。育てる親の劣化も激しい。虐待死は後を絶たない。
子供をめぐる社会の危うさは増すばかりである。そのつけは、やがて国民に回ってくる。心しなければならない。