親父の小言

 福島産の新米を食べた。 うまいの一語に尽きる。 放射性物質がどうのこうのと云う輩が、依然としているらしい。 福島産米を積極的に選ぶ消費者が増えていけばいいと、いつも思っている。 特に意識しているのは、米からできた飲み物については、「福島のために」を言い訳にして、盃を進めることにしている。
最近、ぶらりと寄った古本屋で手に入れた本にあった、「親父の小言」(芭蕉庵紀行)を読んだ。 我々がいつの間にか忘れてきた日本人の心だ。
1、朝、きげんよくしろ。  2、人には腹を立てるな。 3、恩は遠くからかえせ。 4、人には馬鹿にされてろ。 5、年忌法事をしろ。 6、働いて儲けて使え。 7、人には借(か)してやれ。
8、女房は早く持て。  9、ばくちは決してやるな。 10、大めしはくうな。 11、自らに過信するな。  12、火事は覚悟しておけ。 13、戸締りに気をつけろ。 14、捨てはじ届け身につける。15、何事も身分相応にしろ。 16、泣き言を言うな。 17、人の苦労は助けてやれ。 18、火は粗末にするな。 19、年寄りをいたわれ。 20、子の云うことは八九きくな。 21、初心は忘れるな。 22、借りて使うな。 23、不吉なことは言うな。  24、難渋な人には、ほどこせ。 25、義理は欠かすな。 26、大酒は飲むな。 27、判事はきつく断れ。 28、貧乏は苦にするな。 29、怪我と災いは恥と思え。 30、万事に気を配れ。
科学的な根拠もなしに福島産と云うだけで、食卓から遠ざける心ない人たちがいる。 何一つ罪のない、何の傷もない福島生まれの米の粒たちが、悲しみに震える声を聞きたくないと思っているが、どうだろうか。 せめて皆で、積極的に福島産米を食べようではないか。 難渋な人たちのお役に立とうではないか。

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