人工の蜘蛛の糸

何故カイコだけが絹を吐く。この言葉は、旧富士銀行の紅林茂夫氏が述べられた話として有名だ。 紅林氏が言われるには、この地上に何千何万となく昆虫がおり、みんな木の葉っぱや草の茎を食べて生きている。 しかし大部分の昆虫は、それを青いまたは黒い糞として、体外に排泄しているにすぎない。 カイコだけはそれを体内で消化し、燃焼し、やがて美しい絹糸として吐き出す。 そんな他愛のないことを 友人と酒を汲みかわしながら雑談をしていたら、人工の「蜘蛛の糸」を開発した研究者が現れたという話が飛び込んできた。 ノーベル賞の大村博士と同じ発想によるのかどうかはわからないが、微生物を使って蜘蛛の糸を作ることに成功した。 相当長い年月にわたって研究を重ね、理解ある先輩や多くの同僚の協力により、ついに発見したということのようだ。 蜘蛛の糸を使っての繊維の生産は、資源のない我が国にとっては画期的なことで、 脱石油を果たす大きな役割が期待できる。
来年から、製品化に着手し、まず、ジャケットを売り出すそうだ。 素晴らしい早技に感心している。
最近、我が国の企業の傾向として、研究と開発の分類の変化が顕著で、効率化を重視し、研究部門と現場とを密着させて、商品化、工業化を短縮させる方向に向かっているように見える。 確かに近年研究、開発からのみ新しいプロフイットの大きい商品が生まれるという、経営者の体験的認識が一般常識だったのが、低成長時代になり、国際競争力のある独自製品しかメリットを生まない時代になってきたということだ。
街づくりも全く同じである。 街づくりという意味、そこに含まれている行間の意味をしっかりと、読み取ることが必要である。 自然豊かで歴史ある地域として、定住人口及び交流人口の増加が期待されている地域と説明しているが、誰が見ても、土浦市は明らかに衰退の方向をむいている。 行政に関わる人たちは、深刻な問題意識をもって街づくりに取り組まなければならない。 問題意識とは、「いつも自分の心に課題をもつ」 「自分の頭で煮詰めて考えてみる」 「いろいろな角度、異なった次元から問題をあらためてみる」 ということだろうと思う。 問題意識を持つとは、自己啓発の決め手であり、有形の絹を吐くかどうかは、特に第二義といってもよい。 このような強烈な問題意識を持った政策集団の融合体が存在するならば、絹、人工蜘蛛の糸以上の大きな価値が生み出されて当然だと思う。 「上野東京ライン」への乗り入れ本数の少なさは、戦略と戦術に問題があったということになるだろう。

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