高齢者医療費の疑問

 社会保障費が毎年一兆円規模で増えており、そのために消費税の増税は必要だとして国会で可決された。 日本の財政は危機的状況であることは国民だれもが認めており、当然だと受け止めている人が多い。 確かに政府の借金が膨らみ続けて財政が行き詰ると、社会保障に使う予算は工面できなくなる。 国民年金の半分は国庫負担(税)なので、年金などはまっ先にもらえなくなる恐れがある。 さらに心配なのは、これから生まれてくる子供たちの世代の、社会保障制度が壊れてしまいかねないということだ。 
少子高齢化で、一人の高齢者を一人の現役世代が支える時代がやってくるからだ。 したがって消費税のさらなる引き上げは必要だし、同時に歳出削減も欠かせないと思う。
消費税を上げれば家計が苦しくなる、などとして税率引き上げへの執拗な反対論がある。 しかしながら、今の生活さえよければ、これから生まれてくる子供たちの暮らしはどうなってもよい、という人はおるまい。 今の世代が消費税負担を引き受けることは、子や孫を救うことでもある。 子供たちが希望を持てる未来のために、我々は負担を分かち合う決断をするべきであろう。
ところで毎年一兆円規模で医療費が増えるが、その最大の原因が高齢者の医療費だとのことである。 そういえば大分以前のことであるが、政府与党である民主党の両院議員総会とかで、増え続ける高齢者医療費の削減対策として、一回の診察ごとに100円加算しようという話があったらしいが、選挙で不利だという意見が強くて廃案になったことがあった。
高齢者である私は、日頃の不摂生のためか脊柱管狭窄症にかかってしまい、医者にお世話になることになった。そして仰天したのは、治療費のあまりの安さである。 評判のいい医者でスタッフも含め、実に親切で丁寧である。 治療内容は腰の牽引、電気マッサージ、指圧等で約30分であるが、診察費は110円である。この110円というのは厚生省が決めた料金なのだろうと思うが、医院の経営は大丈夫なのだろうかなどとも思ってしまう。 これだけの治療行為をしてもらったら1000円払っても安いと思うし、2000円払っても文句ない。 どうりで早朝の7時頃、近所の超高齢の人たちが、毎日のように乳母車のような、手押しの車を押しながら病院へ行くのを納得した。 あの治療費なら金持ちの高齢者は、毎日行っても何の痛痒を感じないはずである。 
高齢者は時間に余裕があるが、現役世代は勤務が終えてからしか行けない。 患者が多いために待ち時間が長いという不便さを、我慢しなければならないのも辛いことだ。
要するに高齢者の方々は、コミュニケーションのつもりで病院を利用しているとしたら、社会全体に与える影響は非常に大きい。 さらに比較的に金持ちが多い高齢者の診察費は、特別に安くしなくても良いと思う。 生まれてくる子供たちのために我々は、相当の負担を覚悟して実行しなければならないと思う。
 国の財政悪化を防ぐために、政府は一体現場の状況を適切に掴んであるのだろうかという疑問がまた増えた。 

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