農業について

 今、環太平洋諸国の間で関税をゼロにしようというTPP問題が勃発し、日本もその対応に苦慮しているのはご承知のことである。 農業経営者にとってTPP参加は、極めて厳しい難問を突きつけられたということであろう。 下手をすると日本の農業は潰れるかも知れないという、危機を感じている農家が多いようだ。 余程、農家自身が従来と違った農業経営に方針転換して、これに耐えるような工夫をすることと、政府の適切な指導と援助が絶対に必要であろうと思う。
万が一、農業が潰れれば、食料自給率が激減するばかりか、日本の美しい田園風景は失われる。 日本人の美的感受性は、日本の美しい田園の風景がその源泉にあることは疑いようがない。
四季の変化と、それに鮮やかに呼応する繊細でしたたかな自然と、豊かな植生や花鳥風月であり、すなわち日本を支えているのは美しい自然なのである。
世阿弥は、能を完成させた素晴らしき芸人であるが、秘すれば花にこだわり続けた日本の自然が生んだ美しさを、「風姿花伝」で書いているが、日本の美しさは 自然が作ったと言っているのを見てもわかる。
田園が荒れ果てれば美的感受性が枯渇し、日本人が得意とする自然科学も衰退し、工業立国すら覚束なくなるのではないかとの疑念さえ生じる。
そもそも農業は、一国の礎であり生殺を議論することさえ憚れる性質のものであろうと思う。 粉う方なき国家の柱である。
休耕田や放置された畑の荒廃とした様子を見るにつけ、惨憺たる気持ちになるのは誰しも同じだろうと思う。
今我々がなすべきことは、全知全能を傾け早急かつ抜本的に農業を力強く蘇生することだ。 農業は単なる経済問題を超えたものであることを、政治や行政に携わるものは心に刻むべきである。

Follow me!