何も決められない野田首相

 消費税増税を含めた社会保障と税の一体改革を掲げながら、一向に進む気配が見えない。 何も決められない野田首相は、この国を何処へ導こうとしているのだろうか。
昔、宋の国の高官が孟子に聞いたという話がある。 「減税をして人民の負担を軽くしたいが、急にはできない。 今年は少し軽くして、来年から酷税を辞めようと思う」、と持ちかけられて孟子は答えた。 「あるところに毎日、隣のニワトリの卵を盗む者がいた。 それを知ったある人が毎日盗むとはひどい。 せめて月一度にして、来年から盗みをやめたらどうかと言ったとしたらどう思う」。 高官が沈黙しているので孟子は続けた。 「もしニワトリの卵を盗むのが悪いと知ったら、今すぐやめるべきではないのか。 同様に貴官の減税もそれがよいと知ったのなら、何も来年を待つ必要はないだろう」。 「孟子」にあるエピソードである。
「もしその義にあらざるを知らば、ここに速やかにやめんのみ。何ぞ来年を待たんや」。 辰年だからというわけではないが、この孟子の言葉は昇竜のごとくすっきりする。
昨年は、東日本大震災や集中豪雨での被害、タイの洪水での日本企業の損害や円高などを含め、景気の低迷で国民生活は誰もが苦しい。
一票の格差による選挙制度の見直し、増大する国家予算の編成と国債依存体質の是正、加速する企業の海外移転など、もはや待ったなしの状態である。
ニワトリの卵を一個ずつ盗むように、時間を盗んで時を稼ぐわけにはいかない。 すべて何ぞ時期を待たんや。
「古事記」によると、天の岩戸を開くきっかけになったのは常世の長鳴鳥の大合唱であった。 鶏鳴で災いに満ちた暗い夜開け、輝く陽光が立ち返った古代神話。いま、時代は再び暗い。 鶏鳴をぜひ聞きたい。 

Follow me!

つぶやき

前の記事

夜の中心街の暗さ
つぶやき

次の記事

イライラがつのる