茹で蛙現象

蛙を水の中にいれ、ゆっくりと熱を加えていくと茹で上がって死んでしまう。いつでも跳び上がって逃げることができるのに、環境変化が極めて緩慢なので蛙はその変化を知覚できず、死んでしまうのだそうだ。しかし熱い湯のなかにいきなり入れた場合、蛙は跳び上がって逃げ死なないですむ。現状を変革しようとする為政者が、苦心惨憺しながら多くの人々に遅くなり過ぎないうちに、そのやり方を変えさせようとするのは、この「茹で蛙」現象がなかなか克服できないからである。
昨日の読売新聞に「震災直後に休暇取得」として土浦市職員3人処分という記事が載った。確かに権利としてある有給休暇ではあるが、時期としては最悪のタイミングで取ってしまった。公務員の自覚に欠けることは勿論であるがしかしである。本人たちは、震災の前に上長を通して休暇をとることを申請していたらしい。そして彼らの上長はこれを許可していた。許可された職員は、上長が震災後のこの時期に、休暇を取ることに対して問題ないと判断したと思ったのだろう。この問題の本質は、休暇をとることに対して組織として職員の管理や教育をすべき立場の責任のほうが圧倒的に重いはずである。管理する側の処分がなかったとしたら、これは明らかに片手落ちであろう。市ではつい先日も、職員の処分問題が新聞に載った。役所の倫理や危機管理の面でも、組織として抜本的な見直しが必要なのは焦眉の急だ。多分、「茹で蛙」現象が蔓延しているのだろうと想像してしまう。
かって土浦市は、どこにも経済的に従属していない独立性の強い地域であった。独立した経済圏を維持する高い文化〔教育、健康、住宅レベル、環境保全、生涯教育、芸術文化活動〕を保つ誇り高い市として評価された街であった。
それが現在、目を覆いたくなるほどさびしい街になってしまっている。中心街の地盤沈下というのは全国的な傾向ではあるが、それにしてもひど過ぎる様な気がする。どうも地盤沈下が急激過ぎるのは、土浦市の特徴としてあるいろいろな機能を生かしきっていないせいの様な気がする。そうゆう基本的なことを考えないから地盤沈下に歯止めがかからないのではないかと思う。
最近JAの直売所のひとつが、東京赤坂の有名料亭と農作物の直接取引を始めた。料亭側は新鮮で安い野菜や果物が確保できるし、JA直売所は直接取引なので価格的に有利なので、どちらも積極的だ。JA直売所側はこれを足がかりにして、多くの料亭との取引を画策している。これなどは土浦の特性を生かした特徴的な地域の戦略である。
行政の経営は職員も自分で何がニーズで課題かをマーケテイングし、その解決を自分の頭で考え、提案していくことであろう。幸い土浦市の現在の若い職員たちは経歴から言っても優秀な職員が多い。ちょっとしたヒントを与えれば相当な能力を発揮することは間違いない。「茹で蛙」現象から一日も早く脱却することを期待する。

Follow me!