米の需要を考えよう

最中の皮は米粉で作られている。団子、煎餅もそうだ。今、わが国では、米の消費量が極端に減ってしまい、国はもとより農家にとっても由々しき問題となっている。日本全体の水田の面積は、約240万ヘクタールであるが、その全ての水田で主食米を作った場合、収穫量は1200万トンになる。昨年の米の消費量は690万トンで、収穫量の約半分だ。従って、半分は余剰米という事になる。米の需要を発掘することが喫緊の課題である。国は水田で、米以外の農作物の作付けを奨励しているが、レンコンなどに限られていて効果的な作物がないのが現状だ。ロシアのウクライナ侵攻により、ウクライナの主要作物である小麦が不足して、パン類などが値上がりしている。小麦粉の代替品として米粉が注目されているが、なかなか実現の見通しが立たない。
米は小麦と比べて、硬度が高いらしく、それが製粉を妨げているようだ。今後、技術の進歩で食品の安定的な原料となるように工夫しなければなるまい。
土地改良区の目的は、水田に安定的に水を送り、国民の主食である米の生産を順調に成らしめることである。コメが生産過剰になっている反面、我が国の食料自給率は30パーセントをきっており、万一の場合、食糧不足になる危険性は極めて高い。食糧安全保障の観点から考えると、今、米が生産過剰になっているが、万一の事を考えると米の生産は積極的に行っていくことが、食糧安全保障につながる唯一の考え方であろうと思う。従って、過剰になっている米の生産量をある程度抑えながら、水田の作付けを米以外にも利用できるようにしていくしか方法がない。そして水田で大豆、小麦、唐麦などを生産するという事になる。水田の汎用化である。
水田の汎用化とは、水田に暗渠排水等を設置して排水改良を行い、水稲を作ったり、畑作物を作ったり、双方の作付けが可能になるようにすることである。
しかしながら、この事業は多大な経費と、年月がかかる。従ってそれが軌道になるまでの数年間は、米の需要の多様化に取り組むことが必要である。最中、団子、煎餅、他、何があるか本当に真剣に考える必要があると思っている。「酒は米の精だから、体に良い」と語った古今亭志ん生なら、米文化の危機に何というだろうか。

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