電力逼迫について

電力料金の値上げのニュースが続く。今年3月東京電力と東北電力管内で電力の需給が逼迫し、大規模停電が発生する寸前となったことは記憶に新しいところである。窮余の一策として夜間に汲み上げて置いた水を、放流する「揚水発電」の活用で何とか凌いだが、綱渡りの状況だったようだ。最後の砦の「揚水発電」は、電力需要が少ない夜間に水を高所にある貯水池へと汲み上げて置き、電気の使用料が増える昼間に低所へと放流し、タービンを回して発電する仕組みだが、放流する水がなくなった場合、発電の余力がなくなるので利用できなくなる代物でとても万全とは言えない。
冬場は日照時間が短くなるのに加えて、雪などの悪天候などで太陽光発電による供給量も大幅に低下する。ここまで電力需給が逼迫した背景には、慢性的な供給力不足がある。このままで行くと、今冬は全国的に電力不足に陥りかねない。こうした状況の中で、大手電力会社の火力発電の廃止は続いていく。電力不足を根本的に解消するためには、供給力の増強が必要だが、そのためには、長期的に発電設備の維持、形成するための仕組みを早急に整備するしかない。大規模停電の危機はすぐそこにある。発電所は一般商品を生産する工場とは違う。エネルギーの安定は非常に身近で、重要な問題で、安全性が担保され、地元民の理解が得られる原発は速やかに稼働するべきである。世界的な脱炭素の流れに加え、化石燃料の輸入でも厳しさを増す国際情勢に照らしても、安定電源としての原子力活用は不可欠だ。
国会では、喫緊の課題である国防、円安、コロナ、電力不足、統一教会問題等々、という最大課題を脇に置きながら、政治家のミスや思い違いを責めるのに急で、政争を繰り広げている。こうした現代日本の政治模様を見るにつけ、政治家とリーダーシップのありかた、現実の難しい政治論点を突破するリーダーの力量とは何かと、考える毎日が続く。

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