憲法について

日本国憲法が公布されて今月の3日で75周年を迎えた。戦後日本を占領した連合国総司令部(GHQ)が書いた草案をもとにつくられた現行憲法を、我々日本人は一度も改正していない。怠慢としか言えまい。
いま、国際社会は自由と民主主義の国々が、専制独裁の共産主義諸国と対立する構図の中にある。両者は相互に深く経済でつながりながらも、自由や宗教や政治信条、言語、文化、歴史に非寛容な中国などと日本は相対峙しているのである。つい先日は中露の海軍艦艇が日本列島を周回した。それも中国版トマホークを積んだ最新鋭の巡洋艦である。脅威は日々、目に見える形で増大している。どうしたら国と国民の安全を守れるか、喫緊の課題である。
憲法第九条二項に「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」とあるが、いつも不思議な法律だと思っている。なぜなら日本という独立国が、自国の独立を保持するためには必ず一定の「力」が必要不可欠だ。それがなければ、国を守ることも国民を守ることもできない。近代国際社会は、いずれの国々においても、自国の防衛を前提としており、日本国憲法前文に語られている「自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務」という言葉も、この大原則を指している。ところが第九条二項の条文は、その最も基本的な「自国の主権を維持」するという事を不可能にしてしまっている。戦力不保持、交戦権の否認というこの規定は、日本国の自主独立を守るためのいかなる兵力も持ち得ず、またもし持ったとしても、それを使えないという規定である。言い換えれば、この条文は、日本国の主権の維持を完全に放棄しているという事になる。日本国憲法について、我々は「国民主権の憲法」だと教えられてきた。しかしながら、その「主権」は「力」なしには保持できるはずがないではないか。つまり、現憲法は一方で国内の「国民主権」を主張しながら、それを外に対して守り保つことを一切、放棄してしまっているのである。
北朝鮮の核開発が進んでいる。ミサイルは日本海に頻繁に発射されている。何時だったか米領グアム周辺に着弾させると公表していたことがあったが、その軌道はついに取らなかった。米国を刺激するのを恐れたのだろうとしか思えない。何しろ世界最強の軍事力を誇る国である。それに引き換え日本なら、事前通告なしのミサイル発射という暴挙を仕掛けても、万に一つも攻撃される心配がない。日本国憲法がそれを禁止しているからである。外交努力によって北朝鮮の核開発を阻止する試みは、ことごとく失敗してきた。北朝鮮が米本土を射程に収める核ミサイルを保有するのは、遠い将来の話ではない。米国はワシントンを犠牲にしてまで、同盟国日本を守ろうとするだろうか。専守防衛の日本は、本当の戦争の危機を迎えることになる。今回の衆議院選挙において、自民、維新、国民民主、公明党は改憲に必要な3分の2以上の議席を得たのは天命である。憲法改正実現を一日も早く達成してもらいたいと思う。

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