貴重な森林

コロナの影響で輸入木材の価格が急騰しているようだ。国内の木材を使えばよいように思うが、国内の森林は、長い間見向きもされずに放置されてきた結果、極端に荒れ果てていて、すぐに木材を切り出せる状態には程遠い。
所有者の後継者不足に加え、価格の低下で経済原則に全く合わない斜陽産業だったのである。しかしながら、日本国民の多くが森林の健全な復活を望んでいたであろうと思う。今こそ日本の山林を復活させるチャンスが到来した。
「あなたは川の水が、なぜなくならないか、考えたことがあるだろうか」評論家の富山和子さんは「水の文化史」で読者にこう問いかけていたのを思い出す。日本は川が短く、傾斜も急な国土ゆえ、雨が降っても水はたちまち海へ流れてしまいそうなものだが、現実にはそうばかりではない。晴れた日が何日も続いても、川の水は枯れない。その理由は山に木があるからなのである。
森の木々と、落ち葉の堆積した表土とが、雨水を受け止めていったん蓄える。それから水はじわじわと地下へ浸透し、時間をかけて再び地表へしみ出てくる。この緩やかな循環の過程があるからこそ、川はいつも川であり続ける。木材を生産する森林の、もう一つの働きである。森林はこのほかにも、洪水や山崩れを防ぎ、レジャーの場を提供するなどさまざまな効用を持っているが、さて、それをおカネに換算したらどうなるか。かってある大学の教授が、コンピューターを駆使して計算して発表していたことがあった。日本には約2500万ヘクタールの森林があるそうだ。その価値を木材生産、水源涵養、水害防止、保健休養などの機能別に金額換算して積み上げたら、なんと国の予算の六割に当たると発表していたことを思い出した。森林の有効活用が必要だし、ひいては日本の健全な森林の復活につながる。
国会でオリンピックをやるべきでないと大騒ぎをしている議員がいるが、肝心なことに目を向けて、国家国民のためになる政策を議論してもらいたいものだ。経済界の停滞にしても、コロナ対策にしてもしかり、中国問題、北朝鮮問題にしてもしかりである。今国会では、政府と野党が互いに敵視するような場面があったように感じた。国会が政府の足らない部分を建設的に問いただし、政府も真摯に対応する。こんな基本姿勢に立ち返るべきだろうと強く感じる。

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