水田の整備と豪雨対策

土浦土地改良区では、目下、水田の整備に取り組んでいる。虫掛地区の水田約40ヘクタールは、未整備のために耕作が極めて困難で、現状は大半が耕作放棄地となっている。しかも虫掛地区の専業農家は、地権者数62戸中 4戸で、10パーセントにも満たない状況であり、いずれ水田の耕作者は全滅になるかもしれないという危機的状況である。
地元の虫掛地区維持管理委員会が、地元地権者と協議し意見の集約を得て、国、県、市と再三にわたる調整を行い、本格的な水田の整備を行う事で合意し、一昨年事業をスタートさせた。
事業主体は茨城県が県営事業として担当するが、整備の内容は十分な幅員を持った道路や給排水路、畦畔の整備と揚水機の設置が主たるものである。本事業は10アール当たりの経費が膨大であるが、国、県、市の補助が約90パーセント近くと、非常に有利な条件ではある。しかしながら、地権者である農家の負担は大きい。仮に10アール当たりの工事費が300万円だとすると、農家の負担は10アール当たり30万円を超える。現在の米作農家の収入は10アール当たり10万円以下であり、しかも自分で耕作しない農家が大半で、賃貸しているのが現状である。賃貸料は年間10アール当たり1~2万円が相場であるから、10アール当たり30万円以上の負担は不可能に近い。
事業費の内容で多額の経費が見込まれるのは、畦畔のコンクリート化である。水田は大量の水をためるので、貯水池としての役割も大きい。
今年も豪雨によって全国各地で河川が氾濫し、家屋が水没するなどして人命が失われた。今後、益々気候変動が激しさを増すことが予想されるので、水害の防止は大きな課題である。対策として、ダムの建設や堤防の整備が行われているようだが、整備には長い年月と膨大な費用と、多くの関係者の協力が必要となる。大雨はいつでも発生する。対策は速効性が重要となる。
水田の貯水力を利用して、大雨が降った時に、国全体の水田に一時的に雨水をため、川に流れ込む水の量を減らし、下流側の水位上昇を和らげることができたら極めて有効な対策となる。
水田に余分に水をためる装置は、畦畔を高くしてコンクリート化すればよい。畦畔を仮に現在のものより10センチ高くするだけでも日本全国となると、何十万トンの水量が貯水可能となる。
水田の貯水池化はダムを作るより、はるかに経費の節約ができるし、関係者の同意も必要ない。
水田の整備費で一番の問題は、畦畔の設置費用である。ダムよりはるかに安い費用でできるから、国の施策としてやれば、水田の整備費用ははるかに安くて済み、農家の負担も減る。
目下、木田余地区の水田も、水田整備作業を進めているが、畦畔が国家予算で出来るなら、貯水池として大いに協力したいと思っている。水田の畦畔のコンクリート化は、日本全体の水田農業を向上させ、大雨対策としてダム不要にもなり大幅な効果が期待できる。