鯉のぼり

サッチャー元首相の最大の功績を、一言で云えば、「努力すれば、誰でも成功できる公平な競争社会を、築こうとしたことだ」と思う。
徳川家康は、立派な江戸の町を作り上げると同時に、我が国を平和で豊かな国に築き上げた。従って、江戸時代の武士達は、平和な世の中を生きていくためには、武功では上を目指すことは不可能な時代になった。そこで、武術や学問に励むことで立身出世の手段とした。町人たちも技術や商売を学び、家業に精を出すことで家産を増やした。
中国の伝説で、激流を登り切った鯉は竜になる。努力すれば必ず成功する。その鯉のように子供が、竜を目指すことを願うのが鯉のぼりである。
五月五日の端午の節句に、「鯉のぼり」を揚げるようになったのは、江戸時代からだと云われている。武家が家紋の入った旗指物や、幟を門口に並べ立てた。これにならって町人たちが、鯉の幟を立て始めた。いずれも子供たちの「立身出世」を祈っていた。
薫風の空を泳ぐ「鯉のぼり」は、実に爽やかだ。明治維新という改革の奇跡的成功や、日露戦争の勝利の陰には、立身出世を目指し、武士や町人が競い合った江戸時代の蓄積があった。今の日本に最も欠けるものは、この「鯉のぼり」精神だ。

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