時間の流れる速度の形容

後期高齢者の仲間入りしてから数年が経つ。この頃、時間の流れのあまりの速さに驚くのだが、これはいったい何なのだろうか。若かろうが高齢者だろうが、時間の流れの速度に違いのありよう筈はないのにと思う。一時間は一時間、一年はあくまでも一年、なのにである。
つまり、時は、いつも同じ速度で流れている川のようなものだが、その川のほとりを流れに沿って歩いていく人間の速度は、年とともに肉体的な老化からして、段々遅くなっていく歩みの速度との相対的な差が、同じように歩いているつもりの人間にとっては、川の流れが速くなったような気がするのかと思っている。
早いもので、先の大戦から70年以上が経った。その間日本国民は、力を合わせて困難に立ち向かい、廃墟となった国土を見事に復興させ、一時は世界第2位の経済大国にまで押し上げた。しかしながら、繁栄の一方で、我々が失った精神的価値は実に大きい。教育現場の驚くべき荒廃、権利の主張のみで義務を怠って恥じない風潮。苦労を厭わずに愛を注ぎ続けた父母像の崩壊。そうした戦後的風潮に警鐘を鳴らし、是正していくためにはどうすべきかを考えねばならない。我々高齢者にその責任があるように思う。

Follow me!

つぶやき

前の記事

再度前号に続く
つぶやき

次の記事

躾に名を借りた暴力