官僚に対する認識

民主党も自民党もその他の政党も、口を開けば「官僚支配を打破する」と言う。天下りもすべて悪と言う認識だ。 特に民主党は野党時代、官僚の天下りについて国会同意人事を政争の具にしてきた。一昨年は、衆参ねじれ国会の下、日銀総裁に武藤 敏郎・元財務次官を充てる人事案を拒否して、福田政権を激しく揺さぶった。今になって民主党の某幹部は「純粋に武藤さんがいい、悪いと言う前に政治状況があった」とし「武藤さんがはねられたのは今でもおかしいと思っている」と語った。現在、民主党は日本郵政社長に斉藤次郎元大蔵事務次官を起用し、人事院の人事官に江利川毅前厚生労働次官を起用した。まるで手のひらを返したように、官僚を適材適所に配置する必要性を理解したらしい。当たり前の話で形式的、機械的に官僚OBを排除していたら、的確な人事の断行は困難になる。政府の人事は適材適所を基本に進めるのが妥当と言うものだ。 
わが国は過去の事例からみて官僚支配のほうが、政治支配よりもはるかにうまくいく。官僚のほうが勉強しているから専門知識も豊富だし、組織の動かし方も政治家と比べると比較にならないほど、合理的だし、効果的である。1980年代までのわが国の驚異的な経済成長は、護送船団方式などと揶揄されたが官僚が主導したものである。
1990年代になってアメリカが日本の経済がさらに伸びることを恐れ、官僚を排除することを仕掛けてきた。アメリカの作戦にマスコミと自民党が乗ってしまって、官僚システムを弱体化をさせてしまったのが、「失われた10年」とかいわれる日本経済がおかしくなってしまった原因である。以後20年間、わが国のGDPはまったくと言っていいほど増加していない。素人の事業仕分け等いくらやっても、さしたる効果は期待できないし、GDPが伸びなければわが国は経済的にダメージを受け続けることになる。アメリカは今も官僚の復権を警戒し、官僚たたきのための情報操作を仕掛けてきている。これに民主党も自民党もマスコミも依然として乗っかっている。日本の経済も、政治も、政治主導などと言い出してからおかしくなった。日本人は早くこのことに気がつくべきである。日本の官僚は優秀だし、その官僚に十分な力を発揮させる政治が行われることが大事なのである。 天下りの問題がクローズアップされて、すべて官僚が悪いと言うイメージを早く払拭せねばならない。官僚が日本の国を牽引してきたのである。 心すべきであろう。

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