情報とは

つい2,3日前まで、イランを旅してきたと友人が話し出した。日本のマスコミから、流れてくるイラン関係の情報というのは、すべて危険だというものばかりであるが、実際に現地へ行ってみると極めて平和で、多くは大変な親日的な人々ばかりだったと言っていた。親日の理由はいろいろあるようだが、多くの国が過去ロシアにいじめられてきたという歴史があり、そのロシアを日本が日露戦争で完膚なきまで叩きのめした、ということが第一にあるようである。更に石油を大量に買ってくれているという事、アメリカの制裁が厳しい中、日本が柔軟に対処してくれているという事等など、にすごく感謝しているという事のようだとその友人は言っていた。
我々は毎日、膨大な情報の中に日常生活を送っている。 正確な情報の見分け方等、とてもできるものではないと思う。 思うが、しかしである。
白崎秀雄氏の著書「耳庵 松永安左エ門」に、こんな一節があるのを思い出した。 後年「電力の鬼」といわれた松永が慶大在学当時のことだ。師の福沢諭吉が松永たちに語る。「俺はロシアというものは必ず潰れると思うがー」。福沢はロシア全土に鉄道が出来ることを重く見ていた。それによって文明生活を知った人々が「不満を持ってくるから革命が起こる」と話す。 ロマノフ王朝が倒れる二十年も前の予言である。福沢は情報の威力に気づいていたのだろう。福沢の言は、今世界に起きている大変化に照らしても興味深い。北朝鮮や中国の情報はどうなのであろうか。 福沢だったらどう読むのであろうか興味尽きないところだ。 情報というものは正確な分析と推定があって価値が高まる。
松永安左エ門も、また、情報の裏に眼光を徹する人だったようだ。実業から離れて茶道に明け暮れていた第二次世界大戦末期、ヤルタ会談を伝えた「ちょっとした」新聞記事から終戦を予言した。会議では終戦後のことを相談したと推論、そうでなければ「あんな遠い所に連合軍の首脳三人が集まるわけがないよ」と語って知人を驚かせている。北朝鮮や中国はどうなるのであろうか。情報のあふれる今、先人の情報分析力を思わずにはいられない。

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