ある老人の決断

「ドラえもん」の声優で有名だった「大山のぶよ」さんの認知症の状況が、ご主人によって公表されている。 人ごとながら、介護の苦労は並大抵ではないようだ。 確かにボケ老人、寝たきり老人の悲哀は、身内にとって先の見えない困難さを伴う。
仏典に説くように、人は願わざるに病み、望まざるに老い、思わざるに死ぬものかも知れぬ。 しかし、人は死ぬまで生きているものである。 従って老人問題とは、活力ある状態を如何に長く保持させるかにある。 これは必然的に長生きし、忽然としてこの世から消えさることを意味する。 然らば、寿命限界はいくつだろうか。 三大死因と言われる 「癌、脳卒中、心臓病」 が克服されたら、日本人の平均寿命は、幾つぐらいになるのだろうか。 今のペースで進んだら、男女ともに90歳を越してしまうかも知れない。
寿命限界は120歳というのが専門家の意見のようである。 しかしながらこの世に生を享けた我々は、人生を全うするためには老年期を通過する必要がある。 その対応姿勢は古今東西に千差万別であるが、挑戦的か諦観的かに分類される。
サミユエル・ウルマンの「青春」という詩の中の一節に 「人は信念とともに若く 疑惑と共に老ゆる」  「希望ある限り若く 失望と共に老い朽ちる」 というのがある。
とにかく充実した老年期を過ごすためには、常日頃の運動、食事、休養のバランスが大切で、多くの科学的アプローチも参考にする必要がある。 さらにもっと重要なのは心身ともに柔軟性を保つことである。 ストレッチ体操というのが最近注目されているが、心も身体も柔らかく新陳代謝も盛んになる体操だからである。 此処にロマンを求め雄々しく生きる老人像が誕生するように思える。 「転石苔を生ぜず」とも言う。
ここまで書いてくると例のレイモンド・チャンドラーの言葉を思い出す。 「男は強くなければ生きていけない。 男はやさしくなければ生きて行く資格がない。」

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