ラクビーに学ぶ

ニュージーランドの「オールブラックス」と言えば、ラクビー界の名門中の名門で、伝統に輝く世界最強のフイフテーンである。 今から百年以上前になる1905年、このオールブラックスが、英国に遠征して各地を転戦した。 その結果、圧倒的な強さを見せ、31勝1敗の成績を残した。 不覚の1敗は、対ウエールズ戦で1トライを許し、3-0(当時は、1トライ3点で計算) で敗れたものである。 しかしながら、この1敗には興味をそそる後日談がある。 この試合に出場したオールブラックスの名ウイング、デイーンスは、9年後の1914年第1次世界大戦に従軍して瀕死の重傷を負った。 そしてまさに息を引き取る寸前、「あれは俺のキャリーバックだ。ウエールズのトライではなかった」と叫んで息を引き取った。
彼はあれは明らかにレフリーの誤審だ。 しかしながら、ラガーマンとして抗議はできない。 自分たちは負けてはいなかった。 そうゆう思いを9年間も、胸の奥深く仕舞い込んでいたのである。
今更ながら、ラクビーというスポーツの奥深さを、感じさせられる物語である。 複雑な思いを死の瞬間まで明かさなかったこのデイーンスに、真のラガー、真のスポーツマン精神を感じる。
最近小中学校で、いじめが増えたという記事があった。関係者は、その対策に追われているようである。 ラクビーの日本代表チームが立派な成績で凱旋した。小中学生にも大人気のようである。 ラクビーはルールを重視するスポーツの最右翼でもある。 小中学校の教育に、これら多くの団体競技を取り入れたらどうだろうか。 体力の強化はもとより、全体の中の個の役割、ルールの厳守等を通して、社会生活の基本を体得させるには、一番効果的だと思う。 特に男子には、ラクビーのような肉弾相撃つ団体競技が最適だ。 このような主張に対して、事故が怖いという教師や、親たちの声が跳ね返ってくる。 学校の授業や行事の中で、子供が少々の怪我したぐらいで、すぐに教師の責任を問う風潮を、まず改める必要がある。

 

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