国の存続には

人はパンのみにて生きるものではないと、誰かが言っていたのを思い出す。 しかしながら、うっかりしていると、そのパンさえ手に入らなくなる恐れがある。  国会の新安保関連法案の審議を見ていると、この法案の本来の目的は、日本の平和を守るためのものであるにも拘らず、意識的に論点をはずして、わかりずらくしているのが見え見えだ。 ご承知のように中国の海洋への進出行動は異様の一語に尽きる。 南シナ海は自国の領土だと言わんばかりである。南シナ海での埋め立て地の面積は、8平方キロに及び、東京デズニーランドの16倍に当たると聞いた。 中国の国防白書によると、「海上軍事闘争への準備」などと、米軍との軍事衝突も辞さぬ姿勢をあらわにしているとのことだ。 また尖閣諸島周辺では日本の領海侵犯は、もはや常態化している。 まさに危機的状況であろう。 にも拘らず国会では不毛としか言いようのない論議が続いている。 「戦争法案」のレッテルを貼って、関連法案に反対する野党と一部メデアは、何をもって日本の安全を担保するというのか。 対案を出さないのだからそれもないのだろう。 無責任極まりない話だ。
野党の作戦によって、安保法案を進めている安倍首相の支持率が下がり続けている。 国家を個人の敵と見なし、個人の側に立ってその利害を主張するという風潮が一般化すれば、しかもそれが民主主義、自由主義という大義名分にもとずくものだということになれば、政策決定者側には、国民一人一人の欲望を抑えるすべがなくなり、その満足を買うために次々と規制の衣を脱ぎ捨てていかねばならなくなる。 要するに反体制的言動が与党・政府を国民のお気に召すまま政策に追い込んでしまうことになる。 いつまでも、とんちんかんな現実離れした議論をしていると、本当に国家の存続が危うくなる。

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