土地改良組合の役割の重要性について

農業の重要性が語られて久しいが、誰も真剣に考えている様子が感じられない。農業といえば米つくりが最重要な課題である。今年は昨年に比べて99パーセントの収穫量だという発表がなされたが、高温の影響で米質が悪いらしい。今の日本では、水田は、米あまりと価格の問題で、休耕田のほうが採算上有利と言う、おかしな事になっている。
しかしながら、昔かたぎの80才をとうに過ぎた親戚の爺さんは、減反政策で補助金が出るから休耕したほうが得なのに、田んぼはほったらかしにすると荒れて死ぬ、と言って農作業をやめない。本来は跡を次がなければならなかった爺さんの息子は、現在、大企業の部長職にあるが、田植え機、トラクター、コンバインを買うからといって協力させられているようだ。兼業農家の殆どが似たようなもので、サラリーマンをしながら家のローンの代わりに、農機具のローンを払い、休日に田植えや稲刈りをして、日本の農業を持たせている。
このままで日本の農業はどうなるのか、自給率はどうなるのか、心細い限りだ。
そんな中、かって農家の倅であったということで、地元の農家組合の役員の皆さんから、土地改良の役員を仰せ付けられた。「たいしたことはないから」と言われ、それを信じて引き受けたのであるが、引き受けて中身が少しづつ分かってくるに従って、これは大変なものを引き受けたものだと後悔しつつある。土地改良組合と言う業務の中身は、大げさも小ささもなく、日本の水田の盛衰のすべてを担っている。分かりやすく説明すると土浦土地改良組合は、ポンプで霞ヶ浦から水をくみ上げて、用水路を経由し管理下にあるすべての水田〔主に米と蓮〕に水を供給し、使い終わった水を排水路を経由して霞ヶ浦へ戻すと、まあ簡単に言えばこうゆうことである。問題はいろいろあるが、用排水路は常にヘドロが堆積するのでその浚渫、すぐ伸びる雑草の処理、毀損水路の修理、ポンプの運転と作業員の確保、稲と蓮の条件が違う作物に対する切れ目ない用水の供給、水田と水田をつなぐ農道の改修、維持、補修、さらには住宅が進出してきているため、管理している用排水路に生活雑排水の流入問題、等々、枚挙に暇がない。その上、水田所有者に負担してもらっている賦課金が、管理のための処理費用の増により、慢性的に不足しており賦課金のアップをお願いするしかないという問題。正直言ってにっちもさっちもいかなくなってきている。もし土地改良組合が財政的に行き詰り、その役割を停止したら、水田の機能は殆ど失われることになってしまう。水田は米や蓮を栽培するほか、雨水等の貯水の役割をしている。もろもろ非常に重要な役割をしているのに、殆どの人たちの認識はきわめて薄い。このような状態を知ってか、知らずか、民主党は土地改良組合に対する補助金を削減して、農家の戸別保障と言う政策を推進し始まった。行政がポンプや水路の新設改良、維持補修に対して予算措置を講じないということのようで、そうなると農地の所有者の賦課金だけでの土地改良組合は事業を維持できなくなる。用、排水路、農道は行政の所有物なのにである。農業従事者は年を経ることに高齢者の比重が高まってきており、行政が実情を把握し、抜本的な改革をしないと大変なことになる。・ウルグアイラウンドの自由化の波の中で、日本の農業は果たしてどうなるのか、21世紀の食糧問題はと憂いは尽きない。現場を知らない、見ない民主党は口諦疫牛問題で失敗し、尖閣問題で失しくじっているのはご存知の通りであるが、水田対策で失敗したら日本人の主食が無くなるかも。

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