農業が危機だ

 去年の米の価格は60キロ12,500円だったが、今年は9,500円とのことで採算が合わないという理由で、来年からの米作りを諦めた人が身近に何人かいる。 大げさでなく日本の農業の危機だ。 もともと米を作る水田に、安定的に水を供給する目的で発足した土地改良組合は、その目的を失うことになり不要になるのではと思っている。 土地改良組合の財政を大きく圧迫しているのが、原発停止後の電気料金の高騰で、どこの組合も財政的に対策のたてようがなくなってきている。 米があまりに安いために、賦課金と称する管理費をあげられないからである。 一方、多くの農家がコメ作りから離れざるを得ないという深刻な状況に追い込まれつつあるというのに、行政やJAから何故か声が聞こえてこない。 
そうゆう中で、農業にとってはTPPという厳しい問題がすぐそこにきている。
TPPとは同じ価値感を共有するアジア太平洋の国々が連携して、新たな貿易、投資の枠組みを構築しようというものである。 参加を表明している各国とも、当然のことながら、自国の国益をそれぞれ主張していて、そのためになかなか前に進まない。 日本の立場としては、アジア太平洋の成長市場を取り込むという、大きな機会を失う訳にも行くまい。 TPPは市場を開放して、国内の産業を競争にさらすことになる。 競争力の強い産業はさらに世界で発展することが出来る一方、競争しても勝てない産業も出てくる。 その第一候補が農業だろう。 本来、農業の危機解消に真っ先に取り組まなければならないのはjAだと思うのだが、JAは農業生産が減少うする中でも発展を続けており、その構図に常日頃から疑問を感じている。 常識的にJAの性格は、農産物販売や資材購入が第一だ。 しかしながら日本のJAは、これらに加え、銀行や生保、損保の事業まで認められている。 葬式産業まである。 この際、組織の見直しと本来業務の精査が必要だ。 このまま無策を続ければ、やがて日本の農業はつぶれることになる。 そうなれば食糧自給率が激減する。 田園が荒れ果てることにもなる。 そうなったら、日本人の並外れて豊かな美的感受性が枯渇して、自然科学の衰退にも影響してこよう。 土地も資源もない日本が戦後の混乱から抜け出し、一等国になった源泉は明確な四季の変化と、それに呼応する美しい自然だと思っている。 そのまた源泉は、一面に広がる水田の美しさだと思う。
そもそも農業というものは、日本の国の基本をなすものであり、生殺を議論することさえ許されない、荘厳な問題だと思っている。
今こそ、行政もJAも農業従事者も一致して、全知全能を傾け早急かつ抜本的に農業を蘇生させることが、目下の急務だと思う。 農業は単なる経済問題を超えたものであることを心に刻むべきである。

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