奥の細道の不思議

 奥の細道を機会があって読み直した。 松尾芭蕉が元禄2年春から秋にかけての俳句紀行である。 江戸・深川を出て日光、白河の関、松島から平泉、立石寺、羽黒山を抜けて9月6日美濃大垣から船に乗り、伊勢の遷宮を拝行するところで終わる。
読んでいくうちに「おやっ」と思えるところが、しばしば登場する。  あさか山のくだりに 「福島安積で、かつみの花が咲く沼を探し歩くうち夕方になる。 それから2本松を右に曲り、鬼が出る黒塚の岩屋を一通り見た後、その夜、福島泊まり」。 夕方に安積を出て夜には福島にいる。 その距離約40キロ。 マラソンの一流選手でも2時間10分の壁を破るのは難しい。 
それを40過ぎの芭蕉がやってのけた。 芭蕉の自然に対する執着のなせるわざか。興味をひかれるところである。 また「古池や、蛙飛び込む水の音」 と云う句がある。 蛙が水に飛び込む時、音は立てない。 松尾芭蕉と云う俳人は、目で見、耳で聞き、それをそのままにして、想像の世界に入ってしまう特異な人なのだろうと想像する。

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